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24時間Illustrator「愛(Ai)はクリエイティブを救う」

[016] 時間

インターネット時代に入って、私達は何を得て何を失ったのだろう。....どちらも「時間」ではないだろうか。

特定の情報が欲しいとする。ネット前なら、図書館や人づてに情報の尻尾を嗅ぎまわり、全体像に迫っていく。ネット後なら、少しのキー操作で殆どのことが事足りる。直接誰かに会いに行くことは出来なくても、その誰かの「言葉」に辿り着く時間も短縮された。

特定の情報を記録したいと思う。どうせ書くなら、誰かにも見てもらおうと思う。力の入れようも変わるが、やりがいが生まれる。見知らぬ誰かに評価される喜びは、体験したものでないと分からないだろう。情報を残す時間も大幅に短縮された。いやこれはネットがなければ不可能に近いものだった。市井の人のコメントに全くの他人が触れることができるのだ。

失った時間もある。今までだと帰宅して新聞を開き、その印刷された時間までのニュースが束になって形として存在した。帰宅前に確認したニュースサイトが家で待っている新聞よりも未来を報じてくれている。結果を知ってから、その発端を新聞で見ることになる。新聞報道に物足りなさを感じたりもする。そもそも新聞を味わう時間が減っている。

好きな選手の試合など、録画を見るまで、絶対に結果を知るまいと意地になっていると、そうした情報に触れることすらできないこともある。日々蓄積される情報に押し流されて、システムが決めた規定数を超えるとリストに載らない。最新の情報が追加される毎に、多くの情報が奥へ奥へと消えていく。同時にそれを味わう時間も、ネットの中に消えていく。まるで、何かに追われるかのように。

それでも相対的には、時間を得た気がする。失った時間は気がつかないのでカウントしようもない。人参を目の前にぶら下げられたようにも感じつつ、このドッグイヤーを駆け抜ける。時間を「得」したように思い込みながら。

時間を得た分、時間を浪費させられるものに寛容さがなくなってきている。迷子にさせられるWebサイト。どこをクリックすればよいか考えさせるデザイン。有効利用しそうにもないアンケートの設問。ダウンロードにやたら時間がかかる何か。毎回メニューの中の奥のほうを探さないと出てこない機能。必要な情報を得るまでに何回も単なる挨拶メールを必要とする担当者。イライラする。

時間の流れる速度が部分的に加速されてるのに、その部分と何かをつなぐ場面で今までと同じように時間がゆったりとまったりと流れている。断続状に「動く歩道」が配置されているような感じ。そんな道が延々と続いている。しかも不規則でリズムもつかめないように。そっちが普通なんだと頭で理解しても、なにか不快感が伴う。

ネットに慣れ親しんだ者にとって、時間がキーワードであるならば、情報へのアクセス時間を基準に、そのサイトの優劣がつけられるだろう。単純にクリック数だけじゃなく、ボタンの大きさや総合デザインも考慮して。時間をキーワードにしたら、もう少し客観的なユーザビリティの判断基準ができるのかもしれない。

時間が価値を持っているのは、仮想空間だけじゃない。パソコン等が分かり易い。新版のリリースは早い。それなりの価格のマシンを買うと、もう少し待てば良かったと誰もが思わされる。新版はやはり魅力的な機能を増しているものだ。その新旧のマシンの間にどんな価値の差があるのだろう。きっと、「早く使った」という時間が価値なのだ。1月の大きな展示会で新製品が発表されるのを待つのと、型落ちを了解してクリスマス前に購入して使い始めるのを、どちらが価値あるとするか。それは時間の価値化の問題だとも言える。

さて、開発はどうだろう。開発の時間はこの数年間で短縮されたのか。コーディング作業などピンポイントでは短縮された。でも全体的には余りそうは思えない。何がネックなのだろう。連携だと思う。ツールとツールの連携。思考と現実との連携。人と人との連携。情報とデータの連携。飛躍的に加速されたものがあるだろうか。

Ridualを見せると、ほとんどの場合、「それ、○○でできるよ」という反応が返ってくる。○○は既存のHTMLエディタであったり、オフィス製品であったりだ。でも、私には断続的動く歩道に見える。部分が加速されても、全体としてはそうではない。

機能を説明するたびに、それは○○で、それは△△で、それは□□で、とツールの名前が並ぶ。で、その○○と△△と□□を連続して使って、使いやすいでしょうか? 手に馴染んだツールは快適である、というのが大抵の答えだ。それには賛成だ。出てくるツールは殆ど全て私も好きなツールだ、その幾つかは休日にも何時間もいじっていて楽しいものもある。しかし、仕事上ロスしている時間が存在してることには気がついている。そのツールを使うことに目的があるのではない、目的は他のところにある。そして、その目的は1つのツールだけで達成できるものでないし、1人で辿り着けるものでもない。そこそこに情報が記述できれば、他ツールとの連携のほうが重要であるシーンは多々あるのではないだろうか。

時間や連携といった言葉を中心に、開発作業を見直して、その最大公約数的な機能を1つのツールに凝縮したい。既存製品と共存しつつ。

以上。/mitsui