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24時間Illustrator「愛(Ai)はクリエイティブを救う」

[029] プレゼン

プレゼンをする機会が増えてきた。少し前まではPowerPointで資料を作成していたが、最近は意図的に止めてしまった。最近はswf(Flash)のみに近い。

何が嬉しくて、PowerPointから離れるのか。プレゼン時の軽快さと拡大表示機能。そして配布時のソースを渡さない気軽さとファイルサイズ。プレゼン後のオンライン化の容易さ。そして表現力。この4点。

例えば、Ridualで作成したサイトマップをSVGとして出力する。それをIllustratorで開く、図を選択してコピーして、Flashに貼り付ける。それだけでかなり奥まで拡大表示が可能なプレゼン資料が出来上がる。しかも軽い。勿論ベクトル画像である。会場で、全体像を見せた後、右クリックで拡大/全てを表示と切り替えながら要点を説明できる。更に、Flashのパッケージを持っていれば全画面表示が可能なFlashPlayerがついているので、全画面でプレゼンしたり、Ridualのデモをやりながら横にこのswfファイルを表示しておいて、ホワイトボード的な説明ツールにも使える。

私のFlashプレゼン資料の作り方は大きく分けて2つある。1つは本家Flashで作成する方法。もう一つはIllustratorで作成する方法。

1) Flashで作成する方法:
基本的に「シーン」をページ(項目)として作成する。画面の右下に4つのマークを置き、それをボタンとして、次/前のフレーム、次/前のシーンへの4つの方向にマウスクリックとキー操作(←↑↓→)で進めるようにしておく。このActionScriptが少し面倒かもしれないが、一度作ってしまうとあとは流用なので苦労が無い。シーンの順番もいつでも入れ替えられるし結構楽。

2) Illustratorで作成する方法:
Illustratorだけで作るのではないが、これはIllustrator使いには楽な方法だと思う。まず、Illustratorで、レイヤーをページと思って作画する。何レイヤーあっても構わない。それを保存する際に、全レイヤーを表示してから、書き出し/swfファイルとして/レイヤーをswfファイルに、とする。9レイヤーを書き出すと、「(aiファイル名)_L(連番:1~9).swf」という9個のファイルが作成される(10レイヤー以上のときは、*_L01.swf...となる)。あとはこの素材をloadMovieでまとめる。Flashで画面上にボタンを配置し、押されるとキャンバス上に配置した画面に、先ほどのswfを表示するようにする。作り込んでいるように感じるが、Illustratorから出されるのが決まったファイル名なので、これも一度flaファイルを作っておくと使い回しが効く。

swfで拡大表示が可能なことを利用すれば、レイヤーを止めてしまうこともできる。広めの画面に場所を区切って情報を配置する。右上が表紙で、その横が目次、とか。そしてその1枚絵をswfにして、プレゼン中に右クリックで拡大し、手のひらツールで移動する。OHPで原稿をずらしていた時代を思い出すが、これも結構オツ。

Illustratorにこだわるのは1点だけ。正確な位置に正確な線幅でオブジェクトが置きたいから。1ピクセルにもこだわりたい。Flashではキャンバスの表示比率によって、線幅も変われば、微調整もイラつく。LiveMotionやFreehandも考えたけれど、手が馴染まなかった。

プレゼン準備には結構時間をかける。社内会議の場でも、配布資料を後で見てくれるとは思っていないからだ。その場でキーとなることは頭に入れて欲しい。そのためにできる限り努力する。だから映像的インパクトは大切にしたい。だらだら文字を書かないし、説明中に一目見て下を向かれても嫌なので、画面を見て説明を聞かないと分からないように工夫する。

何度か大きめのプレゼンを経験してきたが、後で読んで分かる資料を作成すること自体には賛成だが、プレゼンの場でそれ配るのには疑問を持つ。説明の旨さに依存するところが難しいところだけれど、与えられた時間で惹きつけられなかったら、そのプレゼンは失敗に近いのだと思う。その場で資料を読んで欲しくない。聞いて欲しい。積読(つんどく)状態の資料から、後日連絡が来るような経験は殆ど無い。

DECでは資料作成等も含めてほぼ全てのツールが自前で用意されていた。全世界に14万人以上に繋がっている世界ではあったが、今のPC時代から見るとかなり閉じた世界だった。だからDECを辞めて入った会社では全てのツールが私には新しかった。PowerPointもその一つ。効果的なプレゼンが簡単に作れて感動もした。同時に驚かされたのが、配布資料にもなるという点。プレゼン時に見るものと、後でじっくり読むものとが同じであった。しかも、会社同士で正式に渡す資料も24ポイント以上の文字で書かれたpptファイルであったりした。

PowerPointは、優れたツールだと思う。しかし不幸なツールだと思う。誰のPCにも無くてはならないツールとして位置付けられておきながら、その有効な使い方が伝授されてきていない。特に最近の展示会では沈みたくなる溜息が出る映像が多い。私はデザインを専門に学んできたわけではないが、背景の枠線をはみ出して文字を山ほど詰め込んだり、明らかに場違いな色使いをする映像に対して嫌悪感を持つ。人に伝えるためにプレゼンするんだから、そのための最低限のデザインルールは意識すべきだ。でもそれを誰も教えてこなかった、先輩も、ベンダーも。だから、「僕は絵は分からないんだよね」と平気な顔で、Webに落ちている絵をそこら中に貼り付けたプレゼンがまかり通る。PowerPoint君自身ももっと綺麗に使って貰いたがっているだろう。

学ぶこと、知識を得ることの大切さを思い知る。ツール開発よりも、こうした使う側の姿勢制御のほうが余程大変なのだろう。ツールの操作の問題ではない。使う側の心の問題に近い。

先日あるイントラのリニューアルに関わった。改良点を示し、改良後の画面遷移とワークフローをシュミレーションして見せた。自分ではまぁまぁの出来のプレゼンかと思っていた。それが自惚れだと自覚できたのは、実装が少し進んである程度作業が体感できるレベルになってからだった。作業効率アップをリニューアルの目的にしていたのだが、私の読みよりも効率が良かった。私も少し驚いたが、権限者はかなり驚いていた。その驚く様を見て、私が伝えきれていなかったを実感した。今回の開発でこうなるんですよ、と私は再三説明してきたつもりだ。けれど伝わっていなかったのだ。

エンジニア系の権限者に、完成後の「幻(Vision)」を見せること、それも私の仕事だ。それだけではないにしろ、その比重は大きい。データの流れしか見ようとしない者に、ユーザビリティとか使い勝手に関する数値化しにくい効率の部分を見せれてこそ、そのチームは活性化した状態で開発に向き合える。

使い勝手の悪いツールやWebを見ながら、デザイナを幸せにできないエンジニアは二流だと思い続けている。しかし、エンジニアを幸せにできないデザイナも二流なのだろう。反省&精進。

「No Design, No Business」、日経デザインのキャッチコピー。その通り。更に、「No Vision, No Business」かもしれない。沈滞している暇は無い。

以上。/mitsui