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24時間Illustrator「愛(Ai)はクリエイティブを救う」

[094] 視点

Ridualのデモを見せたときの反応は、大きくは二つのパターンに分かれる。一つ目は、面白がってくれて他にどんなことができるのかと質問攻めにするパターン。もう一つは、Ridualの欠点や不足している機能を挙げて、駄目だと烙印を押すパターン。

前者の場合でも、幾つかの質問に答えていくうちに、Ridualのできないことに触れてしまう。例えば、JavaScript解析。正直にできないことを伝えるが、反応は冷静に考えながら、「そうですか、じゃあこれはできますか?」と質問の矛先が変えられる場合が多い。万能のツールなど、そもそもあると思っていないかのような対応だ。

できること、できないことを冷静に並べた上で、自分のワークフローに適合できるか検討しているのが分かる。何がその人の頭の中で計算されているのかを、ワクワクドキドキしながら待つ。Ridual開発チームの知らない開発手法に出会えるかもしれない瞬間であり、購入に至る至らないとは違う次元で緊張する。

後者の場合は、私の説明する機能の一つ一つにクレームが付く。ここで、こういう情報が出ないんですかぁ、ここのやり方が分かり辛い、面倒くさいなぁ。一つ一つはもっともな要望で、開発者としていちいち頭を下げるしかない。

でも、不思議なのが、Ridualと同じようなアウトプットを作る場合でも、全く使おうとしない傾向が見える。一生懸命Explorerからコピー&ペーストで情報を手で写す人が意外に多い。手間であろうと、エラーを含みやすいリスクがあっても、馴染んだ方式の方が大切だと言っているようだ。

勿論、「慣れ親しんだ操作」は資産だと思う。指が覚えているようなショートカットがアプリ毎に異なってしまっては、使う気になれないのは理解できる。でも、「手作業からの開放」という誘いは私には大きい。何か大きなメリットがあれば、私は馴染みのツールを取り替える(あるいは併用する)ことに躊躇しない。でもそうじゃない人は多い。大切にする事柄は人によって異なる。

こうした反応の違いは、仕事の進め方のスタイルに依存している部分もあるのかもしれない。自分の通常行っている作業を客観視しながら推し進めるやり方と、余りそのような体系的な整理をしないやり方。

どちらが上とか高度とかいう分類をする気はない。体系化するということはパターン化、定型業務化してることであり、信頼性は高まるかもしれないが、マンネリ化のリスクがある。変化の激しい現場では、スタイルを適宜修正するのも辛くなる場合もあるだろう。対して、場当たり的にも見えるスタイルは、瞬時のヒラメキがとてつもなく大きなものであったりする。一長一短。

私が体系的に整理するのを好む(できてはいないけれど)のは、誰かに方法論ごと丸投げしたくて、説明しやすいように整理するため。目の前のお客さんに喜んでもらうだけでは飽き足らず、成功事例は誰かに継承したいし、もっとシェイプアップしたいから。

また、自分がどう感じているのか、どう考えているのかを見直すことは面白い。考え方の変遷とか、誰々の影響を受けているとか、どのサイトの匂いがするとか。自分がどこからインスパイアされ易いのかを知っておくことは役にも立つ。

プロジェクトが終了する度に、自分の感性とスタイルとツールとを擦り合わせていく。開発中は怖くて手が出せない、ツールのヴァージョンアップも、こういった時に考えることにしている。

本当に自分が必要としている機能を整理しながら、その機能があれば今回のプロジェクトが楽になったのかを省みる。プロジェクトの狭間はそれほど長い時間が与えられる訳ではないので、直感で要/不要を判断する。

そのせいか、ツールの変遷を見ると節操がない。その時その時で必要と思った機能をどんどん試していく。最終的に残るものは結構標準的なツールだけれど、雑誌で紹介されたり、人づてに聞いたツールがディスクの中に転がっている。試行錯誤などしないで、メジャーなツールのヴァージョンアップにだけ対応していても結果は変わらないのかもしれない。効率だけを考えるなら。

しかし、Textエディタから始まって、PageMillあたりから色々とツールに触れてきたが、レイアウトに関してもロジックに関しても、この数年でこんなに様変わりするものなのだと改めて思わされる。

ツールがあるから市場が拓けるのか、市場が見えるからツールが生み出されるのか。兎にも角にも、どちらの側面も持ちつつ、私たちの道具箱には様々な新顔が入ってくる。

下記は、私達が意識しているRidualの競合製品:

特に最後の製品(サービス)には少し驚かされる。顧客リストを見ながら、「解析」という分野の裾野の広さを思い知らされる。もはや、開発が主体ではない。リスク管理が主体である。開発者ではなく経営者に語っている。

大規模化/複雑化するWebサイト、その一方で社会インフラとしての安定性/信頼性を求められる存在。もはや、人間が人手で確認できるモノではなくなって来ている。問題点や欠陥を最新のセンサーで拾い出しながら、人知で改善していくという、先進工事現場さながらの状況に突入していることを実感する。

以前、どこかで聞いた話を思い出した。ある先生が教室で、白い紙を取り出し、それが何かを生徒に問う。紙の中央には黒い点が1つ。質問された生徒全員が、「黒い点」だと答えたという。先生は「黒点付きの『白い紙』と答える者は一人もいないのか」と微笑んだという。

どこに視点を置くかで、ものの捉え方は変わって来る。自分のワークスタイルを中心に置くか、市場を中心に置くか、技術か、規格か、ユーザか、時代か。Ridual(ツール)によって楽になった作業のコストを見るのか、まだ楽にならない部分に注目するのか。サイト開発中心に「Webサイト」を見るのか、顧客の資産としてリスク管理まで考慮するのか。

置くべき視点は千差万別だ。答えなんか無いのかもしれない。翻弄されることなく、自分なりの視点を定めて行きたい。

以上。/mitsui

ps.
デモへの反応でもう一つ面白い反応がある。機能を見ながら、「部長はどう使うかなぁ」と口に出す人が結構いる。自分でも、ユーザでもない、上司への通り易さをまず見る。その上司はリーダーシップの強い方なのかもしれない。でもそのおかげで、メンバが間違った視点を持ち始めている。向かい合うべき相手が社外にいることは多い。