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24時間Illustrator「愛(Ai)はクリエイティブを救う」

[132] Web道、武士道、静と動

Web屋さんって、武士のようなものかと思うことがある。戦時においては素早く動き、平時においては地道に備える。田畑を耕し、自らの生活の糧を育みながら、武器を研ぎ、馬を鍛え、腕を磨く。常に戦時ではない、常に平時でもない。そんなところも似ていると想うのかもしれない。

そんなことを考えながら、パソコンを見る。これは「馬」なんだろうな。これがなければ始まらない。歩兵戦を蔑視する訳ではないけれど、歩兵戦だけでクリアできる合戦は少ない。機動力は、そのCPUとメモリと、備えておいたアプリケーション。最近の悩みはいい馬が減ってきたこと。馬に載せる武具は広がっているにも関わらず。

基本的なノート馬暦は、VAIO、Let's Note、ThinkPad、PowerBook、PowerMac。Macは基本的に室内馬(家)で、外に持っていくことは出張時くらい。Adobe製品は、Windowsで揃えているので、武具に頼る戦いは、Windowsでしのいで来た。

馬を買ってきてすることは、前の飼い主の癖を抜くこと。余計で華美な動きが最近の馬には多すぎる。殆ど素(Windows)の状態にする。色々と調べながら引っこ抜く。最近はリカバリー機能が付いているので、購入時(出荷時)レベルには戻しやすい。逆に素の状態+最低限ドライバの状態にしてくれる機能拡張が欲しくてたまらない。買ってきてワクワクしながらする最初の作業が削除だなんて、やってる自分で少し空しい。売り手は、買い手のニーズをもう少し理解して欲しい。

そこまで済んだら、必要最低限のアプリを入れる。基本的にはブラウザとフリーソフト群。鍛えぬいた、というか手に馴染んだ設定を持っていくことも大切な作業。ここ数年で、ブラウザとそのアドオンでかなりをまかなっている感が強い。選択する苦労があるけれど、そこは情報でなんとか軽減化して、お金がかからないことを喜ぶ。

為参考)mitmix :: Add-ons for Firefox
https://addons.mozilla.org/ja/firefox/collection/mitmix

多用しているのは、画面キャプチャのFireShotと、CoLT。CoLTは下記のように設定するのがミソ。URLとタイトルの組合せを右クリック一発でコピー:

▽CoLTの設定:
 1) PlaneText = %T%N%U
 2) TitleOnly = %T
 3) HTML+URL = <a href="%U">%T</a><br>%N%U
 4) HTML+target = <a href="%U" target="_blank">%T</a>

馬(パソコン)と武具(アプリケーション)と諸設定。そこに過去のデータを合わせれば、新しい戦いをする際にかなり楽になる。何もない「0」を創造する力よりも、「1」から「2」や「3」を生み出す方が何かと早い。一度踏んだ生産過程はそうそうは忘れないし、そこに過去財産が残っていると、更なる加速装置として支えてくれる。

かくして馬の数よりも、武具庫(外部ディスク)が増えていく。価格低下もあいまって、整理するよりも先ずは保存。馬固有の武器庫はすぐに一杯になるので、サンダーバード2号方式をもくろみつつも、整理が追いつかない。未整理の武器庫がまさに段々と積まれていく。

なので、定期的に棚卸しをする。プロジェクトの整理、ファイルの整理、参考資料の整理、作例の整理。パワポやイラレでお気に入りの表現は、再利用できるように日頃から集めては整理して、微調整して、をチマチマやる。

武具が錆びつかないように研ぐが如し。侍が静かに研いでいる姿はさまになって格好いいが、作例の整理は余り美しくない。それでもこの作業を怠ると、次の資料作成がはかどらない。忙しい時に限って、未整理資料の中からゴソゴソと探すことになる。地道に堅実に、と3~6ヶ月に一度は振り返る(ように努める...)。

自分の馬や武具を備えた武士が集まると、自然とノウハウ共有が進む。最近は白板にマジックで書くことも続けるけれど、モニタやプロジェクタで情報を写しながら議論することも多い。用意したスライドだけを映すのではなく、議論に合わせて、ブラウザでサイトを見たり、エクセルで課題管理をしたり、ワードで議事録を書いたり、Outlookで会議依頼をその場で出したりする。

当然、衆目の中での操作になる。そこで適切な情報提供と情報操作がなされれば、会議が進むだけでなく、ノウハウも盗用共有されていく。MS嫌いで生きてきたせいか、Office系の使い方は未だに月に一度は新しいものに遭遇する。よくぞここまで分かり難く奥にしまい込むものだと逆に感心する。だからこそ、手練(てだれ)の早業を見せ付けられると、その操作自体にまた感動する。

同じプロジェクト内の侍ばかり、基本的に必要な情報整理方法は似てくる。だからこそ、効果的な技はその群れの中で有効に機能する。さすがに、Office勉強会と銘打っては気恥ずかしいし、わざわざ実施するのも情けない。現場の他流試合のようにプロジェクトの中で披露し合った方が効果的だ。別にOfficeばかりじゃない、PhotoshopだってIllustratorだって。互いの武具を見せ合って、鍛えていく。教室みたいに「ここは大事ですからね」とか誰も言ってくれない。勝手に盗む。見えなければ、「も一回やって」と頼む。それができる集団が強くなる。

そして、手練の武士達が集まると、共同作業の効率が問われてくる。連絡方法やその記録の仕方、情報の置き方から、過去情報の退避の仕方。更には大量生産のための独自ツールやそのノウハウ。ツールを作り込むこともあれば、ルールという決め事で解決する場合もある。

一定の方法で何かがなされることが分かっていると類推が効く。あのプロジェクトのあのドキュメントは良かったから参考にしよう。思い立ったら探し当てられる。ここでも個々が整理されてるというポテンシャルが効いている。

でも、皆が類推できるようなルールを作りつつ、更にそれを改良しようと狙っている。一度作ったものが未来永劫ベストであり続ける訳がない。そんな信念に近い何かも共有されている。もっと良いものがあるに違いない、もっとうまいやり方があるに違いない。そんな体制が、クライアントに変化を提案し続けることができるチームなのかもしれない。

「転がる石に苔(こけ)はつかない/A rolling stone gathers no moss.」ということわざ(?)を思い出す。二つの意味を持つことで有名な言葉だ。苔(moss)を良いものだという立場では、「じっくり腰を落ち着けてやらないと本当の実力はつかない」。苔を悪いものだという立場では、「活動的な人には常に新鮮さをたもつことができる」。自分達の作ってきたルールや仕組みが苔にならぬように、後者の意味で走り続けるべきだと思いたい。

そして苔も付かない活躍をする武士群には戦略が要る。ただし、戦い方ではない気がしてきた。最近読んだ本に、「戦略とは『戦いを略す』と書く」とあった。無駄な戦いを避けることこそが、大切なのかと思い始めている。ふり返っても、なんと無駄な戦いが多かったことか。あの諍(いさか)いがなければ、もっと先まで行けたのに。まさにブルーオーシャン戦略だ。

為参考)mitmix@Amazon - ブルー・オーシャン戦略 競争のない世界を創造する (Harvard business school press)
http://astore.amazon.co.jp/milkage-22/detail/4270000708

特に時代劇が好きな訳ではないけれど、戦時と平時がともに描かれているものには好きなものが多い。武勇だけでは胡散臭い、華々しい死は空しい、でも平時だけではなだらか過ぎる。静の中の動、動の中の静。それらが描かれているドラマで、静の中により深い想いや共感が得られるものが好きなんだろう。だから自分の業界も、職場も、環境も、暮らしも、そうあって欲しい。動はあくまでワクワクと、静は限りなく深く。

以上。/mitsui

名古屋で話してきました。最近短めのものが多かった中での50分間。前日の夜中になって、突然不安になって資料をupdate。約50枚、しかもパワポではなく、InDesignで。作りすぎました。覚悟を決めて腹を据えて話さないと、駄目です。話し手の不安はキチンと伝わることを実感。アンケートではほめて貰えたけど、自分自身が納得いかなかった。反省。鍛錬鍛錬。