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谷口ジローの「シートン:狼王ロボ」

正確には、原案:今泉吉晴氏とのシートンですが、谷口ジローの代表作と言って良いと思う。

谷口氏との最初の出会いは「青の戦士」。そこから事件屋稼業にさかのぼり、幾つかパスした作品はあるけれど、その後はほぼコレクター。紙を削るような筆圧時代からは想像もできないほど、軽やかで緻密な時代の代表作がこれ。昔の荒ぶるテンションが、静かな線の中に脈を打つ読後感。名シーンとして1枚を出せないんだけれど、シーンとして心に残るものが多い作品。

子供の頃に読んだオオカミ王ロボ。記憶の中で色々と膨らんだり減らしたりしてたような気がするけれど、改めて感動させられる物語。ロボとブランカ、ロボとシートン、ロボと人間。自然と人間。様々な愛憎と共生と対立のメロディ。白黒の(電子)インクの合間から、見たこともない西部の乾いた風が吹いてくる。そしてそれが沁みてくる。

今、1巻格安セール中の中、これは読み切りなのでかなり満足感が高い。基本自炊派ですが、この本は切れなかったので購入。本も美しいけど、デジタルでも持っておきたい一冊。