AD | all

24時間Illustrator「愛(Ai)はクリエイティブを救う」

[026] モノ:CLIEというデバイスと情報の形

今期せずしてハマッているものがある。CLIE PEG-NX70V(以下単に「CLIE」)。パームは幾つかの機種を触ってきたのでパーム機としての新鮮さは解像度程度。ハマッているのは、「CLIE Mail」と「NetFront」。

Mailとは基本的に削除しない、というのが今までの方針だった。それが、このデバイスのおかげで軌道修正された。CLIEはメモリ制約のせいもあって、捨てざるを得ない、貯めておいてはいけないマシンである。情報ってなんだろうと考えさせられている。

少し操作方法を説明しよう。機種は、CFカードスロットが後ろに、多少邪魔なデザインでついている。私はP-inマスターを使っているが、その設定は通常通りプロバイダのアカウントとアクセスポイント情報を入れるだけ。CLIE Mailの設定は、複数のアカウントを設定できること、それから受信方法を指定できるところがポイント。受信設定には二つの項目がある;
 1) 取得行数:
  1-1) すべて
  1-2) ヘッダ+本文行数指定(最初の「20」行指定)
 2) 取得メール数
  2-1) すべて
  2-2) メール数指定(最近の「20」通取得)
「」内の数字は任意に指定でき、更に「フィルタを使用」することも可能。

上記の標準的な設定で三つのアカウントの mail をチェックする時間は約1分半。1つのアカウントだけだと早い時は30秒。それだけで後はオフラインで mail を読める。形状的には、CFカードを装着していると、上のほうに重心が移って多少アンバランス。しかし、電車の中でも殆ど片手で自由に操作できる。

この取得行数の設定が気に入っている。最初の20行でまともな情報伝達を出来ている mail は余りない。受信した mail が取得行数制限がかかっている場合、「次回接続時に残りを取得 ○.○k(○はファイルサイズ)」を選択することが出来る。結局二度手間で受信することも多いのだが、最初の20行で伝わらないものは捨ててしまうことも多い。 mail マガジンで最初に広告や解除の方法や定幅フォントでとか長々書いていあるモノは、そのままワンタップ(クリックと同義)で削除される。中身を見ることもない。mail ニュースで最初の20行までにニュースの目次にまで達しないものもある。再度受信するときもあるが、もういいやと捨てるときもある。HTML mailはHTMLコードがそのまま現れるので見る気にもならない。受け手に配慮せずに送りつけられたものは即座に捨てる。迷惑 mail も、うざったいという感覚は持つが、新聞折り込み広告の自分には無関係なモノを殆ど見ることもなく捨てる感覚で処理できる。捨て易いとは怒りになりにくい要素なのだろう。

CLIEは高解像度の液晶が売りでもあるので表示は非常に綺麗。しかし画面幅という物理的制限は越せない。受信した mail は、小さいフォントの設定で横約17文字、大きいフォント設定では約12文字。約というのは禁則処理をしてくれるので、句読点などは前の文字ごと次行に移されるから。決して見やすい訳ではない。35文字に設定している mail マガジンは、本来の1行分が「2行+1文字」に分断される。見るからにガクガクしたフォーマットで読むことになる。パソコンのメーラを想定して、インデント等が入っているとフォーマットは更に崩れる。情報の塊が何処から何処までなのか目測が効かない。見づらいなんてものではない。改めてこういったデザインの意味を思わされる。

そんな中で見やすいのは、特別なテーマにそったメーリングリスト。最初の行に自分が誰で誰に送っているのかが明記されている。その後、伝えたいことが簡潔に記述される。質問であるのか、意見であるのかも最初の17文字強を読むだけで雰囲気でほぼつかめる。引用部分も必要最低限にしてあるし、手紙文化から来ているフォーマットや挨拶文は混じらない。とっても分かり易い。パソコンではついつい流し読みしているものを、電車内でCLIEではじっくり読んだりする。改めて、言葉の持つ力を実感する。初めに言葉あり。

mail 内のURLはタップすれば、ブラウザである NetFront が立ち上がる。基本的に mail はオフラインで読むしかないので、NetFront が立ち上がった時点で接続するかを聞いてくる。このブラウザがまた曲者で、表示モードを3つ持っている。

標準表示モード、縮小表示モード、ジャストフィットモード。最初の2つは、作られた画面を出来る限りパソコンブラウザと同じように表示し、拡大縮小がかかっているもの。スクロールして全景をつかむ。最後のものは、HTMLにどう書いていようが、物理的な画面の中にスクロール無しで表示しようとするモード。もちろんこれが一番便利。その場合、ニュースサイト等で馬鹿でかいバナーがあったりすると、それと記事文面を横に並べて表示するのを諦めたりする。広告だけがあって、その広告が切れたところから記事が表示されたりするのだ。CMカット機能といってもよい。デザインされている画面が崩されることで、再度デザインされている。しかも、こと広告に関して言えば遥かに邪魔にならないように排除できる。

CLIE MailもNetFrontも、そこに広告を出している者にとって嬉しい機能ではない。しかもそれぞれのアプリはそういったものを排除することを目的にしている訳ではない。しかし結果としてCLIEユーザが欲していないものを排除する方向に働いている。そして、ベースマシンであるパソコンでの mail 受信のスタイルにも影響が出つつある。貯めていく情報から、捨てていく情報 へ。

もちろん、これらのアプリの前にパームの素晴らしさがある。10年以上前、NEC98シリーズの新版が出るたびに起動時間の短さを派手に宣伝していたのを憶えている。当時冷ややかに見ていたが、PDAのスイッチと同時に稼動状態になるという、限りなく起動時間ゼロに近い状態を目指していたのかと思い出す。正直言ってCLIEまで来るとマシンへの感覚自体が変わってくる。実は壮大な理想だったのだ。OSが重くなっている昨今の流れは、その理想への逆流か。

アプリはハマッているだけで、完成しているとは思っていない。受信した記事の中から特定の部分を他アプリに渡すのもできたり出来なかったりする。イベント情報はスケジューラに、技術情報はメモ帳に渡したい。添付で付いてきたファイルを別アプリで開きたい。Flash Playerが付いているのに、添付ファイルをそれに渡すことが出来ない。NetFrontもswf未対応である。それでも、何でもを持ち歩くのを諦めた時点で、このデバイスの価値がぐっと上がった。そもそもがメインマシンにはなれないデバイスなのだ。

通信という手段を容易に使えるようになって、このデバイスはサブメイン級だ。そして、かなり使える分、メモリの制限と電池の壁が立ちはだかっている。使用可能なアプリを常に使える状態にできない。ハード的なデザインも色々言いたい。私の使い方ではキーボードは不要。毎日使いもしないキーボード分の重量を運んでいるのは気分も悪い。しかし、不自由さは付きまとうものの、充分に使い倒したい可能性に満ちている。

新しいデバイスで、古い情報を見る。情報のあり方を考えさせられている。

以上。/mitsui

ps.でも新機種出るたびに5万強というのには付いていけない。