出産場所は悩んだ末、「片桐助産院」[1]に決めた。海老名市の主催する 母親学級でも評判が良かったし、実際に2人で行って見てその熱意に感じ 入ったからだった。片桐さん曰く「子供は、自分の力で出てこようとす る。そのために彼らなりに非常に努力している。母親の体もそのために、 実に巧妙な動きをするように造られている。それを薬で何の苦労も苦痛も なしに出てきては、子供の心に満足感が生まれない。何かをやり遂げたと いう気持ちを赤ん坊の時に知ることはとても大切な事だ。そして、自力で 出て来た赤ん坊は、生まれたときからピンクの良い色をしている」。赤ん 坊は青白い色をしていると、信じてきた私は驚きをもって彼女の話に聞き 入った。
[1]神奈川県海老名市杉久保2474-4 片桐助産院。水中出産などでも有名。
食事がとても美味しかった事も印象的。
「悩んだ」というのは、助産院であるが故に医療行為が出来ない点だ。 高齢出産[2]に属する妻の初産への不安があった。 その不安は、最後まで消えなかった。 しかし、2人とも産むのは此処でと既に心に決めていた。
[2]35歳以上の出産。