私は大筋賛成です、国立メディア芸術総合センター。
国がマンガのために何ができるのか。それは未来を継ぐ人材を生む場所、あるいは触発を受ける場所を提供することだと思う。その場所とは、学校とかじゃない。一人静まりてマンガと向き合える場所です。博物館、理想的じゃないですか。ロダンだって、ゴッホだって、モネだって、雑踏の中ではない、非日常の中で正視してきた。マンガを伝えるべき文化とするなら、それぐらいの場所がなくては駄目でしょう、逆に。
額縁付きの原画をめでるのを云々とか言っているけど、手塚さんの原画をガラス越しに見つめ続けたよ、実際に。当たり前じゃない、輪転機では汲み取れない情熱がそこにあるんだもの。感動した。鳥肌が立った。何十年も経ったけど、忘れない。私はそっちの道には進まなかったけれど、それが未来の「手塚」を生むんです。赤字経営したって、たった一人の新しい手塚を生み出せれば、100億なんて全然OKだ。私の税負担は100円以下、毎年払ってもいいよ。そして、ゆとりがあるからやるべきことでもない。いまやらんと困る状態が見えているのも事実。絵が下手な漫画家や、売れ筋しか追えない編集者、そんな使命感失くした人間ばかりになる前に取り掛かるべき文化大事業。
私はマンガから希望をもらって生きてきた。今後それが腐っていくのは耐え切れない。現場関係者自身が、襟を正す場所としても必要。噴出している編集者vs漫画家闘争も、お前らマンガ好きでねぇの?とその場所で一喝できる場所があったほうがいい。ガラス越しでも、手塚さんの原画の前で、そのドロドロやってみろと言いたい。見てて恥ずかしい。読む側のことを考えないで、エンターテインメントなんてありえない(基本的に描き手を応援するけれど、知りたくない話が多い、文化の担い手である自分達だけで解決すべき話が。)。
個人への投資話は、夢はある。でも現実的じゃない。自称漫画家に配るのか、誰が「困っていたり苦労している有望な漫画家」を認定するのか。そっちの方がアマクダリーズの思う壺で、無駄金になってしまう。下手すれば、ふんぞり返っている大御所にしか金が回らない事態に陥る。それなら、ハコモノ作って、製作現場と称して寝所を提供した方が若手支援になるだろう。2年で独立してくださいとか、ね。アニメの殿堂:公営アパート付き。国営トキワ壮。目指し易い形じゃない?、それって。
それに国が選ぶbets100とかもやれば良い。好き勝手にマンガ喫茶で非推奨マンガがはびこるから、モラルが低下する。国として、人としてどーなのというマンガが、マンガの代表のごとく語られるのは、俺の勝手でしょとか言わせているからだ。排他すべきだとは言わない。でも「正史」を作った上で、「裏史」を作ればいいじゃない。マガジンとかが何周年記念とかで漫画史をやるけど、あれの拡大版がでかい壁面一杯にあっていいじゃないか。アトムやジョーやガンダムの大壁画の前で記念撮影、それだけで夢がある。個人的にはディズニーランドで並んでるより、よっぽど文化貢献だと思う。あの頃の俺には夢があったとか、お父さんがオジサン講釈を始めてもいいじゃない。絶対に文化貢献できる場所だ。
「国営ネットカフェ」とか、そもそも文化卑下している議員さんとか、実際に行った事あるのかなぁ、ネットカフェに。小説だって貧乏学生がボロボロな古本を読み漁っている部分もあって、文化になりえているじゃない。マンガだって、貧乏学生が、ボロボロになるまで読み漁ってここまできているし、これからもそういう部分は消えないだろう。東大卒で大邸宅で育った方が、次世代を惹き付ける偉人になると思っているのかな。んな訳ないじゃない。多少は貧乏でギラギラしてメラメラしてイライラして、トキメイている人が突き抜けて行くものでしょう。手塚さんが生まれて80年。日本にたった一箇所、そんな場所があって、何が困るのか。
多分はっきりと言える事は、今卑下しながら反対している議員さんの名前も思い出せなくなった頃、新「手塚」は生まれるんだろうということ。そんな先まで考えて噛み付いているんだろうか、あの方々は。10年20年先の種蒔きとして、他にもっと優先すべき事があるんだろうか。一歩譲って、次善の策としてでも良い、こうしたマンガ文化維持事業は必要だろう。
マンガの本質は、手塚さんが言っているように、「風刺」。時代を見据えていないと分かるはずのない領域。そこに、希望とメッセージを込めて、エンターテインメントとして成立させる必要がある。そして視点の根底は、「草の根」、「庶民」。学者とか政治家とか、お高くとまっている方々じゃない。ふつーの人の目線。それはかなり高度な文化資産。そうした目を育てる場所、そしてそれを「メディア」として捉えて育てていくこと、それを国がやるって、かなり素敵だ。
国立メディア芸術総合センター、できたら絶対に行きます。アトムやガンバやネロとパトラッシュ達にも会うために。あの頃の想いを思い出すためにも。伝えるべきものや、自分の足場を考えるためにも。初めて応援しますが、頑張れ、文化庁。