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はじめに

子を持って、日々思うことを書き綴りました。無邪気な子に、時にイライラさせられ、時にホッとさせられ、時に喜ばされ、時に笑わされ....1日として同じ日はなかった、目まぐるしい日々の記録です。

幼い時より常に引っ掛かっていた「家族とはなんだろう」という疑問への、問いかけでもあります。激しく厳しく情にもろい父と、冷静で知的で暖かい母の下、少し離れた2人の弟との5人家族は、時代の波のなかで大きく動いていました。そこで学んだ事は、良きにつれ悪きにつれ、それからの私の感覚を支配し、私の生き方にも大きく影響しました。

何を決めるにしろ、その決定過程を顧みると、親や家族の色彩を強く意識するようになりました。特に、家族を持ち、三十となり...と齢を重ねるにつれ、その想いはより強くなるばかりです。この私の頭の中に刷り込まれた「モノ」は一体なんだろうか?そんな漠然とした疑問が、「家族とはなんだろう」という問いへと変わっていきました。

先ず、「親としての教育」のあり方を見てみたいと思いましたが、記録を続けるにつれ、次第に「教える」という奢った考えに気付かされました。私は教えているつもりで、多くの事を子から学んでいる-そう実感できた時、「子育て」の意味が大きく変わってきました。

ここで書かれている多くの事は、日々の戦場のような子育て環境を感じさせないと思います。しかし、毎日毎日続く子との葛藤は、決して楽なものではありません。けれど、そこに楽しさを求める事を、積極的に能動的に親の側が始めないと、辛さが増します。私は、この記録を続ける事で、その事に気付かされました。記録をとるために良く接する、接するから細かな事まで気付かされる、気付いた事は書き溜めたくなる...この好循環が、毎日の睡眠不足の私をどれほど励ましてくれたことか。

私は、これを年2回ほど、友人達に近況報告として送りました。こんな時、友人とは有難いもので、たとえ駄文であろうと誉めてくれます。この、友人達の厚意の笛に躍らされることも、筆を進ませてくれました。本書は、その近況報告とその時には送らなかった分と加筆分をまとめたものです。

つたない文章ではありますが、子を持って始めて分かる気持ちを共感できれば幸いです。